育苗とは
育苗とは苗を育てること。苗は、水田に移植することを前提とした作物の幼植物のことで、比較的高い密度で、集約的に育成されます。苗は、気象や雑草、病気などの環境の影響を受けやすいので、田畑に直接種子を播いて栽培するよりも、育苗を行い、ある程度大きくしてから移植したほうが有利な場合が多いと言われています。
「苗半作」といわれるように苗づくりは水稲栽培において大変重要な作業です。苗のよしあしはお米の収量や品質への影響が大きい為、苗作りでその年の収穫の方向性が決まるとまで言われています。
育苗の方法
以前は、圃場で大きな苗になるまで育てて、手で植えていましたが、現在は機械移植に対応した育苗箱が一般に普及しています。育苗箱は30×60cmで深さ3cmのプラスチック製のものが一般的で、この育苗箱に床土を詰めて播種し、育苗ハウスの中で育苗します。地域によっては、水田に直接育苗箱を並べる方法や、灌水の労力を省くために、ビニールで作ったプールに育苗箱を並べる「ビニールプール育苗」が広がっています。
美味しいお米になるために
育苗ハウス内での育苗は、灌水と温度管理をしながら田植のできる苗になるまで育てます。苗は葉の枚数(葉齢)によって3つのタイプに分かれます。「稚苗(ちびょう)」は葉齢2〜3葉苗、「中苗(ちゅうびょう)」は4〜5葉苗、「成苗(せいびょう)は葉齢6〜7葉苗」と言われています。
育苗期間は、一般的に稚苗で20〜25日間、中苗で30〜35日間ですが、育苗期間の温度が高くなる時期や地域では少し短くなります。中苗は稚苗より1葉程度苗葉齢が多く、それだけ稚苗より初期生育が良く、出穂期が早まるので、寒地・寒冷地ほど成苗に近い苗を用い、温暖地・暖地になるほど稚苗が多い傾向にあります。