福岡県みやま市の前原孝利さん
第14回米・食味分析鑑定コンクール総合部門金賞受賞
福岡県南部の筑後平野の南端に位置するみやま市高田町地域。ここでお米作りを行う前原孝利さん。水産資源に富んだ有明海に近く、農業ではいちご・きゅうい・すもも・みかん、などの生産が盛んなエリア。「美味しいお米を作るために、田んぼには地力を高める対策が必要だ」と前原さんは考えており、地域では誰もやっていない事に挑戦しました。
この地域では、もともと二毛作を行っており、稲わらを鋤き込む場合は裏作の麦の発芽を良くするために焼却してから鋤き込みます。しかし前原さんは、稲わらそして麦わらも全部田んぼにそのまま鋤き込んで、腐植させ、有機肥料として利用しました。水を張った前原さんの田んぼには色んな種類のカエルが引っ越してきます。水質の良い田んぼにしか発生しないホウネンエビを狙っているからです。稲が丈夫で、害虫を食べてくれるカエルが増えるので、防除も施肥も田植えの際の1回だけです。
「稲わらの土づくりには時間がかかる」という前原さん。誰もやってこなかった事を、美味しいお米を作りたい一心で、ひたむきにやってましきた。そのパイオニア精神の宿るお米は、地域の期待と共に、進化し続けており、第14回の米・食味分析鑑定コンクールで福岡ではじめて総合部門で金賞を受賞しました。これまでコンクールの入賞実績は、東日本の標高の高い産地が多数入賞してきた中、昨今の高温気象で低迷している九州産のお米を日本一にした前原さんの受賞は意義深いと言われています。
前原さんが作る「にこまる」は九州のブランド米「ヒノヒカリ」に代わりうる品種として、おいしさ、品質、収量の3拍子揃ったお米を目標に開発された品種です。香り、粘りが良く、粒が大きくしっかりしているのが特長で最近人気がでてきた品種の一つです。
編集者プロフィール
ツナギの米・食味鑑定士がお米の品種、生産地、生産者、お米コンクール等のお米にまつわるデータをご提供します。消費者に知られていないお米の情報や力のある米農家を世の中に広めるのが使命だと考え情報発信をしていきます。
