地力が消耗しやすく肥料への依存度が高い「畑土壌」
日本に稲作が伝わった遥か昔、日本列島の南から北までとても短い期間で水田が普及していったそうです。その理由は、同じ手間を掛けても、畑より水田の方が毎作安定的に、収穫量も多く得ることが出来たためと言われています。ではこの畑と水田の土壌の違いは何なのでしょうか。まずは畑の特徴をみていきましょう。
【酸性化しやすい】
カルシウム・マグネシウムが少ない土壌が多く、降雨や連作により酸性化しやすい。
【有機物の分解が早い】
土壌がつねに空気に触れており、酸化状態に保たれるため有機物の分解が早い。
【肥料への依存度が高い】
水田土壌に比べ地力の消耗が激しく、灌漑水などによる養分供給もないため肥料の供給が必要になります。
【土壌浸食されやすい】
強風や降雨による土壌浸食がおこりやすい。
【連作障害が起きやすい】
同じ作物を同じ土地で作り続けると養分が減り続け、その作物を好む病原菌が増え、連作障害がおきやすい。
連作障害が出ない「水田土壌」
次に水田土壌の特徴をあげてみましょう。
【連作障害が出ない】
酸化・還元状態の繰り返しで微生物が入れ替わるため病原菌が集積することなく、また過剰な養分も流されるため、連作障害が出にくい。酸化状態では好気性菌が、還元状態では嫌気性菌がおもに働き、微生物が入れ替わります。
【作物に必要な養分を供給】
水田は、夏場には湛水による還元状態になり、水を抜く冬場は酸化状態になるサイクルを繰り返すため、有機物や鉱物が分解され、作物に必要な養分が供給されます。
【肥料への依存度が低い】
水田土壌中ではリン酸が溶け出し稲に吸収しやすい形に変化したり、カリウムなどの微量要素も蓄積されています。また、水からの養分補給もあるため、養分欠乏に陥りにくいと言われています。そのため、水田土壌は天然養分供給力が高く、肥料をあまり与えなくても稲が育ちます。
美味しいお米を支える水田土壌
このように畑土壌と水田土壌の特徴の大きなポイントは、酸化還元にあることがわかります。畑では、土壌が常に酸素に触れるため有機物の分解が活発化します。そのため地力の消耗が激しく、連作障害を引き起こすために輪作などの工夫がされています。
一方水田では、水を張ることで酸素が届く酸化層と、酸素が欠乏している還元層が形成され、土壌の酸化還元により稲の生育に向いた環境になっているのです。畑と水田の大きな違いである湛水により、水田では地力の消耗を抑え、稲を同じ田んぼで作り続けることができます。
「土づくり」とひとことで言っても、畑・水田それぞれにおいて、有機物分解や天候などによる土壌への影響などたくさんの要素を考慮した農家さんたちの努力が、美味しいお米や作物を生み出しているのですね。
ツナギおすすめのお米
渡部洋巳さんの
山形県高畠町産つや姫(特別栽培米)
ツヤツヤとした輝く見た目、炊き上がりの白さは際立ち、もっちり感や甘味も良いお米です。冷めても美味しく、お弁当やおにぎりにも最適です。「米・食味分析鑑定コンクール」で総合部門・金賞を受賞している農家が育んだ逸品です。
斎藤睦彦さんの
山形県鶴岡市産ササニシキ(特別栽培米)
東北でも有数の米どころ、庄内産のお米。今では栽培が非常に少なく、希少価値の高い一品。あっさりとした食感で飽きのこない旨み、スッキリした甘みが広がり、和食にはもちろん丼料理や中華等にもピッタリです。出羽三山に囲まれる自然豊かな平野で育まれた山形県認証の特別栽培米。
平方聡司さんの新潟県岩船産の
コシヒカリ(特別栽培米)
雪国・新潟は、そのミネラルが豊富な雪解け水、そして昼夜の寒暖差が美味しいお米を育むところです。さらにこちらは農薬と化学肥料の双方を削減した特別栽培米です。環境へ最大限配慮し、その自然環境と共に育むお米は、甘みが際立ち、ツヤ・粘り・香りとも良くトータルバランスが優れています。