爽やかな緑色の絨毯のような田、黄金の草原のような田。
お米農家は春の種まきから秋の収穫までの約半年間、稲の成長具合を確認しながら健康に丈夫に育つように丁寧に栽培を行います。今回はこの稲の成長(一生)についてご説明します。
稲の成長は大きく栄養生長期と生殖生長期に分けられ、体を作る栄養生長期は生育期・(幼)苗期・分けつ期に、子孫を残す生殖生長期は幼穂形成期・穂ばらみ期・出穂期・登熟期に分けられます。
生育期〜(幼)苗期
まず種籾を塩水につけて選別します。塩水は真水に比べると種籾が沈みにくいので、中身のしっかりと詰まった重くてよい種籾を選ぶことができます。選んだ種籾は消毒を行い、芽がでやすいように水に浸水させます。その後、育苗箱にまかれ土をかけます。丈夫な苗が育つようにしばらくビニールハウス等で育てられ田植えを待ちます。
分けつ期
田植え後、だいたい10〜20日ほどで苗の根元から茎が出はじめます。これを分けつといいます。根のすぐ上にある茎の節から芽が伸び、それが分けつし、新しい茎の数を増やします。稲は分けつを繰り返すことで根をしっかりと張っていきます。分けつ期の最後には田んぼから完全に水を抜いて土を乾かします。これを中干しといい、土の中に酸素を取り入れ、根をしっかり張らせるために行います。
幼穂形成期
分けつした茎が一番多くなる頃、茎の中で穂の赤ちゃんにあたる幼穂ができてきます。この頃、稲の品質向上、収量の確保の為に穂肥を行います。
穂ばらみ期
茎の中で幼穂がだんだん大きくなり、穂が出るまでの期間を穂ばらみ期といいます。
出穂期
茎から緑色の穂が顔を出し始めます。この出穂期の気象条件の良否が収穫量に大きく影響します。緑色の穂には数日後に小さな花が咲きますが、その時間はわずか2時間ほどしかなく、花はだいたい午前中に開花してしまいます。
登熟期
花の受精が終わり、米粒がどんどん大きくなっていく時期です。稲は昼間に太陽の光で光合成を行います。夜になると、昼間に光合成で作ったブドウ糖を稲に送り込みます。夜の気温が高いと、稲の呼吸が盛んになり、光合成で作ったブドウ糖を多く消費してしまいます。その為、登熟期の夜の気温は低い方が良いと言われています。昼夜の寒暖差が大きいほど美味しいお米が作れると言われているのはこの為です。出穂後、約40日程度過ぎると穂が垂れ籾は黄色く色づきます。そして、待望の稲刈りを迎えます。