毎日、茹だるような暑さですが、田んぼでは収穫を控えた稲が、たくましく茂っています。
これから迎える稲刈りの最盛期を控え、8月8日、18日は「お米の日」。
お米の日には、日本人の食を支えるお米について、改めて考えてみませんか。
目次
お米の日とは?由来と日付
「お米の日」は、お米の魅力を再確認し、消費を促すことで、お米の自給率確保や、日本の食文化を守り伝えていくために生まれた日本の記念日です。
制定した自治体や団体なども複数あり、日付も特定の1日のみに定まっているものではありません。
≪由来≫
米という字を分解すると、「八」「十」「八」から成り立っていること、また、お米の栽培には88のたくさんの手間暇がかけられている、ということから、8や18が付くお米関連の記念日が多いです。
・毎月8日
・毎月18日
・8月8日
・8月18日
・8がつく日(毎月8日、18日、28日)
など、定めた自治体や団体により、いろいろ日付が異なるようです。
米食の日とは
お米の日と似た記念日として、「米食の日」というのもあります。
≪米食の日≫
毎月18日。三重県が1978(昭和53)年10月に制定。
由来はお米の日と同じく、お米という漢字が「八」「十」「八」からできていることだそうです。
参考:本間美加子「日本の365日を愛おしむ―季節を感じる暮らしの暦―」株式会社飛鳥新社 2020年12月P266
おすすめのお米
農林水産大臣賞受賞 黒澤ファーム(黒澤信彦)さんの
山形県南陽市産夢ごこち(特別栽培米)
長年守り繋げてきた土地で代々継承してきた技を活かして米作りをしています。夢ごこちはふっくらモチモチした食感と甘みが格別で、しっとりとした質感で幸福感のある濃密な粘りを楽しむことができます。まろやかな旨味が飲み込んだ後に余韻を残します。
ヤマチョウ(佐々木大作)さんの
秋田県にかほ市産ササニシキ(自然栽培米)
自然豊かな美しい環境で、育苗土から手作り、肥料、農薬、除草剤、を使わず丁寧に育てました。心から安心して食べられるものを届けることを第一に考え、全て自然栽培で米作りをしています。冷めても美味しいササニシキをぜひご賞味ください。
お米、食べていますか?お米の消費量の変化
“お米の消費量が昔と比べて減っている”ということは、ほとんどの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。
1人当たりのお米消費量は、
ピーク…年間118.3キログラム(1962年、昭和37年)
近年…年間50.9キログラム(2022年、令和4年)
と、半分をさらに下回る数値まで落ち込んでいます。
参考:農林水産省HP お米の1人当たりの消費量はどのくらいですか。https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1808/01.html
なぜ?お米の消費量が減少している理由
お米の消費量が減少傾向にあることには、どういった背景があるのでしょうか。
①食の多様化
インターネットの普及や、手に入る食材が多様化したこともあり、様々な国の食文化がボーダーレスに楽しめるようになりました。
日常で、家庭の食卓に上るメニューや学校給食などでも、お米を主食とした伝統的な和食だけでなく、小麦や他の穀物を使った麺類やパンが高い頻度で登場するようになりました。
食の選択肢が増え、「主食はごはんが当たり前」であった時代から、“選択肢のひとつ”になっている現状があります。
②食の簡便化、外部化
核家族化、単身や二人世帯の増加に伴い、少人数分の食事の準備への負担感が増加しています。また、家族の多い世帯でも、共働きの増加により、炊事の外部化や簡便化が求められている時代です。
ごはん食の場合、浸水と炊飯に時間がかかるイメージから、すぐに食べられる麺類やパンが重宝されるようになりました。
米食において、家庭内での炊飯割合は減少しており、外食や中食での比率が増え、パックごはんの需要も増加しています。
③若者だけでなく、特に中高年の米離れの深刻化
「若者の米離れ」を問題視する声はよく聞かれますが、意外にも、米食に親しんできたはずの、中高年の米離れの割合が大きくなってきているようです。
特に50代、60代での米消費の減少率は、若い世代を大きく上回っています。高齢になるに伴い、食べる量そのものが減っていくことも相まって、少子高齢化が進む日本では、今後もお米の消費量の低下への対策が必要です。
④お米に対するイメージ
“お米は太る”“糖質は控えたほうがよい”などといった極端なイメージから、お米をあまり食べず、おかずの量を増やしたり、別のもので置き換えたりされることも多いです。
正しい知識があれば、お米は健康の向上・維持、ダイエットにも役立つものであるのにも関わらず、敬遠されてしまいがちです。
最近のブームであるオートミールも、“オートミールの米化”といったキーワードが流行し、カリフラワーをお米の代わりにする“カリフラワー米(カリフラワーライス)”や、こんにゃくをお米の形に加工した“こんにゃく米”なども話題になりました。
お米の代用品として食べられる食材の流行によっても、あたかもお米は良くない、と感じさせるイメージが広がっているのかもしれませんね。
参考:一般財団法人農政調査委員会 理事長の部屋:米食習慣の希薄化と米離れによる米消費減の加速化-とくに高齢者https://apcagri.or.jp/apc/prescolumn/6520
お米の消費拡大のための取り組み
お米の消費の減少は、日本にとって危機的状況です。お米の消費を増やすために、国や行政もさまざまな取り組みをしていますので、一例をご紹介します。
①米飯学校給食の推進
給食を通して、次世代を担う子ども達に、ごはんを中心とした日本型の食生活を継承するといった目的や、地域の食文化を通して郷土への関心を高めるといった教育的観点からも、米飯給食が実施されています。
週当たりの実施回数の平均は、2008年の3.1回から、2018年の3.5回と、増加傾向にあります。
②食の外部化への対応
外食や中食の需要が高まるなか、それらの事業者と、産地や生産者さんをマッチングする支援が行われています。
③新たな需要の開拓
パックごはんや、米粉など、需要が拡大している米製品の需要拡大に向けても、支援が行われています。
米粉に関しては、グルテンフリー(ノングルテン、ノーグルテン)への関心度も相まって、国内外で需要が拡大しています。従来小麦粉を使うのが主流であったパンやお菓子作りにも、米粉を使ったものが次々と登場しています。
最近のトレンドでは、国産の米粉を使った米粉チュロスの専門店も相次いでオープンし、注目されています。SNSで情報を集める若い世代にも受け入れられるような、カラフルで写真映えするビジュアルも人気のひとつのようです。
④積極的な情報発信
学会やシンポジウムの場でもお米の機能性について発表がなされたり、
SNSやYoutubeなどを活用し、動画を含む様々な形での情報発信が進められています。
「お米の日」も、お米の消費拡大のための取り組みのひとつですよね。
日本の食料自給率は先進国のなかでも低く、ほとんどの食材を海外からの輸入に依存しています。
しかし、そんななか唯一、ほぼ100%国内で生産され、供給されているのがお米です。
しかし、高齢化により田んぼが維持できず、お米の供給も危ぶまれています。
日本の食や、豊かな環境を守っていく意味でも、お米を食べること、農業や農家さんを守っていくことの大切さを痛感します。
お米のすばらしさ、農業へのリスペクトを、今一度、日本人みんなが感じられるようになればと願っています。
参考:農林水産省 食料自給率のお話(連載) その1:お米の自給率https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-03.html
進化する日本のお米
お米といえば、「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」などが有名でしょうか。
これらの品種は作付け面積も大きく、一般的でスーパーなどでも取り扱いのあることが多いので、誰もが聞いたことのあるお米だと思います。
今では、数えきれないほどの品種や銘柄があり、それぞれ異なる特徴を持ったお米がたくさんあります。
食味の好みにより、わかりやすくまとめてあるのがこちらのページです。
冷めてもおいしいといった、機能的な特徴のあるお米もあります→【話題のお米・低アミロース米とは】普通のお米やもち米と何が違う?わかりやすく解説
また、同じ品種でも、有機栽培、特別栽培、自然栽培、慣行栽培など、栽培方法の違いもあります。
日本の米どころといえば、新潟や、山形をはじめとする東北をイメージされる方も多いと思いますが、今では日本全国で、有名な米どころに負けないおいしいお米が作られています。
特色のあるお米を食べ比べたり、全国のお米を食べ尽くすチャレンジなどもおもしろいですね。
生産地で選ぶ
また、最近では、健康志向の高まりから、食味だけでなく、健康機能面での特徴のあるお米づくりも盛り上がりを見せています。
胚芽の大きい品種の栽培や、発芽玄米への加工、ポリフェノールやミネラルの多い赤米、紫黒米、緑米、黒米なども注目されています。
おすすめの古代米
野辺薫さんの埼玉県深谷市産古代米(特別栽培米)
古代米を作って30年の確かな技術が品質と味を決めます。普通の稲よりも何倍も手間をかけ丁寧に仕上げました。身体に嬉しい栄養がたっぷり含まれた赤米、紫黒米、緑米、黒米の4種を絶妙なバランスでブレンドした「薫古代米」をぜひご賞味ください。
お米の進化は、食べるためのお米だけに留まりません。
牛などの家畜のエサとして生まれた「べこあおば」や、鑑賞用の植物として生まれた「奥羽観383号」などもあり、新たなお米の可能性が伺えます。
まるで旅をするように、日本各地のお米が食べられる「お米旅」
日本全国には、素晴らしい農家さんや、知られざるおいしいお米がたくさんあります。
ツナギスタッフは、今年もお米に精通した各地の農家さん達を訪ね、そのただならぬこだわりや、膨大な手間暇、大きなお米への愛を直に感じてきました。
なかなか個人では、どれを選べばいいのかわからない…という方も多いと思いますが、全国の米どころから厳選したおいしい米を、鮮度を保つ“産地直送で”お届けするサービスもあります。
おまかせで毎月違う産地のお米が届くので、あれこれ試してみたい方や、忙しくてじっくり選ぶ時間がない方にもおすすめです。
おわりに
お米の日には、これから本格化する新米シーズンを心待ちにしつつ、
太古の昔から日本人が守り繋いできた、お米づくりのすばらしさを再認識してみましょう。
時代とともにライフスタイルの変化はあれど、日本の素晴らしい食文化を継承していくことは、何にも代えがたい価値になると確信しています。