もみ殻を堆肥として利用する
稲刈りの時期になると稲作地帯では大量に入手可能なもみ殻。
玄米を覆う硬い殻であるもみ殻は、作物の生長に必要な物質が含まれており、土壌を改良する性質もあります。このもみ殻を使った「もみ殻堆肥」はもみ殻の潜在能力に注目した有効な活用法です。
市販の堆肥には、品質表示の義務があり、その表示項目に「炭素窒素比」があります。C/N比とも呼ばれ、有機物の成分に炭素(C)が多いか、窒素(N)が多いかを示しています。もみ殻はC/N比が75前後と高いため、そのまま田んぼに使用すると分解の為に土壌窒素が使われて、窒素飢餓になります。そのため、籾殻を使う時はC/N比を調整して窒素飢餓を出さないようにするために堆肥にして使用します。
もみ殻堆肥の作り方
もみ殻そのものは、窒素分を少ししか含んでいません。そのため、もみ殻だけでは窒素成分が足りず発酵微生物が増殖できずなかなか発酵しません。発酵を順調に進め、堆肥化させる為に、米ぬかや生ゴミ、家畜の糞などのC/N比が低い窒素成分を多く含んだものを加えて、窒素分を補います。結果として、C/N比を20〜40程度になるよう調整すると良いと言われています。
もみ殻を燻炭として利用し美味しいお米を作る
もみ殻を堆肥として利用する以外の有効活用法としては、家畜を飼育している農家の畜舎の敷床等色々ありますが、焼いて燻炭にして土壌改良材としての利用する事も挙げられます。
このもみ殻を燻炭として利用して美味しいお米を作る名人が群馬県みなかみ町の本多義光さんです。本多さんは冬の間、毎日長時間かけて燻炭をいぶし、その一部を春先に田んぼに鋤き込みます。もみ殻燻炭を土に混ぜ込むと、微生物の活動が活発になり農作物の根が元気になるといいます。
病害に強く、稲の持っている力を引き出してくれて、秋には良食味のお米が実ります。本多さんの所には、この方法を勉強しに、全国からお米農家さんが視察に訪れるそうです。
稲作の副産物として処理に困る大量のもみ殻も、工夫して使いこなせば立派に活用できます。これからも、ますます利用法の研究開発が進んでいくことを期待したいですね。