4/26(日)に、「米袋をつくろうプロジェクト」の続編として、「ワークショップ&試食会」を有楽町「銀座ファーマーズラボ」にて開催しました。
食環境ジャーナリスト・地域活性化アドバイザーの金丸弘美さん、金丸弘美さんのご長男でイタリアン・シェフの金丸知弘さん、そして昨年夏にプロジェクトでお世話になった勝又農園の勝又靖雄さんにお越しいただきました。
ディスカッション
金丸弘美さんと勝又靖雄さんのトーク&ディスカッションです。写真や地図を見ながら、勝又さんがどのような環境で米作りをしているのかを学びました。勝又さんの田んぼは東京から100km、車で1時間30分ほどに位置する高原都市、静岡県御殿場市。米作りとしてはかなり標高の高いところにあります。御殿場はわさびの名産地としても知られますが、わさび田を潤す富士山の湧き水が田んぼにも活かされています。
4月は育苗の真っ盛り。そんな多忙を極める中、勝又さんに東京までお越しいただきました。美味しいお米は元気な稲から作られるので、稲の赤ちゃんである苗を育てることはとても大事な農作業です。GW明けに田植えをし、稲刈りをするのは10月のこと。自らの手で自家製の有機肥料を作るという勝又さん。農薬を散布したり、水の管理をしたりと様々な農作業を経て、お米が収穫され、皆さんの食卓にお米が届きます。
そしてお米は様々な形で日本の食卓を豊かにしています。炊いたご飯、パエリア、団子、煎餅・・・みんなお米から作られているんですよね。
ワークショップ
3つの炊いたお米を「視覚」「嗅覚」「触感」「味覚」「聴覚」の五感で表現するワークショップを行いました。参加者には事前に知らせずに用意したお米は、①新潟県南魚沼市のみわ農園さんのもち米(こがねもち)、②タイ米(ジャスミン米)、③勝又農園さんのコシヒカリ。炊く前のお米も紙皿に入れて観察してみました。
①もち米(こがねもち)です。つやつやとした炊き上がりで光沢があります。甘い匂いも食欲を誘います。試食すると子どもたちから好評した。昔は赤飯やおこわとして食卓に並ぶことも多かったもち米もうるち米同様に消費量が減っていると聞きますが、改めて美味しさを見直すことが出来ました。
②タイ米(ジャスミン米)です。長粒種と言われる通り、細長いお米です。独特の香ばしい匂いがするので、「エスニック」と表現した子どももいました。「パサパサ」「パラパラ」とした食感の表現の通り、日本人がいつも口にするうるち米と風味が異なりますが、チャーハン等の中華料理にも珍重されている高級米です。筆者も自宅でチャーハンにして食べましたが、相性ばっちりのお米でした。今から約20年前、東北地方を襲った大冷害で、日本はコメ不足となり、タイ米が緊急輸入されたことを思い出しました。当時は「美味しくない」と敬遠されたタイ米ですが、日本米とは品種が異なりますので、最適な調理方法が異なって当然のこと。カレーライスとの相性も良いので、今後もいろいろ試してみたいと思います。
そして最後は③コシヒカリです。「ママが炊いたお米の匂い」と表現した子どもがいたように、皆が普段の食卓で食べなれている味。勝又農園さんのコシヒカリは冷めても美味しいと評判です。
この五感で食べ物を表現するワークショップは欧米では学校教育にも採用され、食育のみならず、表現力を養うワークショップです。子どもたちの豊かな表現で、農産物の持つ魅力を消費者の皆さんに伝えることが出来たら、素晴らしいですね。
試食会
最後は金丸知弘さんによるお米を使ったイタリア料理の試食会です。
リゾット等の料理があるように、イタリアでもお米は重要な食材です。金丸知弘さんからイタリアのお米事情が写真付きで紹介されました。まず驚くのがおしゃれなパッケージ。クリスマス限定のパッケージ商品もあったりと、日本とはずいぶん違った風情です。また、日本では新米が珍重されますが、逆にイタリアでは十分な品質管理のもとで熟成された古米が高級品として扱われることもあるそうです。
1品目は「黒米のジュース」です。昨年夏のプロジェクトでお世話になった神奈川県小田原市の志村屋米穀店さんからご提供いただいた黒米を茹でて、その煮汁とリンゴ・パイナップル・オレンジ・レモンを使って作られたジュースは、「え、これがお米?」というさわやかな味わいで、とても美味です。
2品目は「お米のサラダ」。見た目も鮮やかで、食欲をそそります。銀座ファーマーズラボさんからご提供いただいた、ひぐらし農園さんのルッコラやイタリアンパセリも使わせていただきました。1品目同様にお米は茹でて使います。日本人にとってお米を「茹でる」という調理法は不思議な感覚ですが、炊いたお米とは違ったプリッとした食感を楽しむことが出来ます。
3品目は「お米のてんぷら」です。「茹でる」同様に、お米を「揚げる」という感覚も日本人には新しいですね。皆さんには揚げたてを試食していただきました。香ばしい匂いが会場に広がります。中学生のお姉さん参加者も調理に参加してくれて、大いに盛り上がりました。ふわっとした食感で、子どもにはおやつとして、大人にはお酒のおつまみにぴったりです。
そして4品目は「お米のケーキ」です。日本では最近、米粉を使ったパンやケーキを見かけますが、このレシピはお米を粒のままの状態で牛乳と煮て作るケーキです。切って断面を見ると、お米の粒がきれいに並んでいます。シナモンの香りもお米と相性良く、紅茶と一緒にいただきたくなる一品でした。
今回は10組の親子の皆さんにご参加いただきました。
また講師として参加していただいた、金丸弘美さん、金丸知弘さん、勝又靖雄さんに感謝です。
<銀座ファーマーズラボの紹介>
「日本の農業を元気にする実践的な場を作りたい」というVISIONのもと、東京のど真ん中・有楽町に、農業で人と場をつなぐコミュティ空間がオープンしました。