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お米コラム・お米の炊き方

【防災の日】今すぐ備える!お米ではじめるローリングストック

             
令和6年1月1日、能登半島地震が発生しました。この度の地震で被災された皆様へ、
心よりお見舞い申し上げます。また、被害に遭われた地域の一日も早い復旧をお祈り致します。

 

災害大国と呼ばれる日本。大きな災害は、いつどこで起きてもおかしくありません。
災害への備えと一言にいっても、非常用持ち出し袋の準備や避難経路の確認、災害備蓄、室内・室外の対策、家族や地域のコミュニケーション、緊急時の応急手当の知識など、多岐に渡りますが、今回は食品の備蓄についてご紹介します。

防災用品

防災の日とは

内閣府は、毎年9月1日を「防災の日」、また、この日を含む1週間を「防災週間」としています。

9月1日は、約100年前に関東大震災が発生した日であり、台風シーズンを迎える時期でもあります。
日本は災害が多く、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波などについての認識を深め、災害を未然に防ぎ、被害を軽減するためにも、防災の日が創設されました。


参考:内閣府 防災情報のページ 「防災の日」及び「防災週間」についてhttps://www.bousai.go.jp/kyoiku/week/bousaiweek.html


参考:東京消防庁 防災の日と二百十日https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/libr/qa/qa_59.htm

 
防災用品をチェックする

今すぐやろう!防災アクション 日常備蓄で万が一に備える

ひとたび災害が起これば、電気、ガス、水道などのライフラインはもちろん、食品や日用品などの供給も止まってしまう可能性があります。

そして、もとの生活に戻れるまでが長丁場になることもあります。自宅避難で過ごすことも多いので、当面生活できるよう、必要なものを各自備えておくことが重要です。
食品に関しては、乾パンなどに代表される災害用備蓄食品も便利ですが、災害用に特化したものだと、普段使用しないために管理や継続が難しい、賞味期限が近づくと消費に困る、といった問題があります。
非常時専用のものだけで揃えるのではなく、日ごろ使っているものをうまく取り入れながら災害用に備えることで、無理なく、無駄なく使いまわすことができます。

参考文献:東京都総務局総合防災部防災管理課 平成27年「東京防災」p84-93

 
ローリングストック

ローリングストックとは

ローリングストック(日常備蓄)とは、日ごろ使用している食料品や日用品を多めにストックし、使った分だけ補充しながら、一定量を備蓄していくという考え方です。

ローリングストックの流れとしては、
①必要な備蓄量を用意する
②賞味期限の古いものから消費
③消費した分を購入し、ストックを補充

これらを繰り返して、一定量が常に備蓄されている状態を目指します。

災害時でも普段から食べ慣れた身体に合うもの、好みの味のもの、扱い方のわかっているものがあることは安心感につながり、非常時のストレスを少しでも軽減することができます。
嗜好品(おやつや飲み物など)も、災害時にほっと一息つける心の栄養になりますので、好みのものをストックしておくといいでしょう。

何をどれくらい?最低限備えたいのは?

非常用の食品は、「最低3日分、できれば1週間分」は、備えておくと良いようです。
常温で日持ちするものを中心に、家族の人数や食べる量に応じて備蓄を進めましょう。

(例)
・飲料水…1人1日3リットル
・主食…無洗米(1人2kg)、パックご飯、レトルトご飯、乾麺、即席めん、アルファ化米、ロングライフパンなど
・主菜、副菜…缶詰、びん詰、乾物、レトルト食品、真空パック食品、インスタントの味噌汁やスープ、日持ちする生鮮食品など
・調味料…しょうゆ、味噌、油、マヨネーズ、はちみつなど
・嗜好品…菓子類、栄養補助食品、果物の缶詰やジャム、野菜ジュースや好みの清涼飲料水など

【ポイント】
・調理せずそのまま食べられる食品(アルファ化米、缶詰、栄養補助食品など)を最低1日分、できれば数日分確保しておくと安心です。災害が発生してすぐは調理が難しい状況が予想されるためです。
・乳幼児の場合は離乳食や粉ミルク・液体ミルク、高齢者の場合はおかゆなどのやわらかい食品、アレルギーや食事制限のある方は安心して食べられるものを、しっかり備蓄しておきましょう。常備薬や市販薬も、災害時は特に手に入りにくくなります。
・カセットコンロとボンベの備蓄も重要です。1人ガスボンベ6本程度(約1週間分)を目安に、多めに持っておくと安心です。
・紙皿、割りばし、ラップ、アルミホイル、耐熱性ポリ袋、ごみ袋など、食事に必要な資材も買い置きが必要です。非常時の生活を想像して、必要なものを揃えておきましょう。


参考:農林水産省 特集1 非常食(2)https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1609/spe1_02.html


参考:農林水産省 災害時に備えた食品ストックガイド(平成31年3月)https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html

 

管理栄養士が薦める備蓄食品の選び方

災害時はどうしても、いつもと違った食事になります。
エネルギーを確保するために、主食(ごはん、麺、パンなど)が多くなり、炭水化物に偏った食生活になりがちです。不足しやすいたんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維を摂れるものも意識してバランスよく用意しておきましょう。

【主食(炭水化物)】

災害時は飲料水の不足やお手洗いの心配から、水分を控える傾向にあります。更に主食がパンやビスケットのようなものが多くなると、あっという間に水分が不足し、便秘がちに。
食事の偏りに加えて、ストレスや運動不足で腸の働きが悪くなると、さらに腸内環境が乱れ、免疫力の低下にもつながります。
落ち着いてカセットコンロなどで調理ができる状況になれば、いつもの主食であるごはんを中心に、よく噛んで食べるように意識しましょう。海苔や梅干しと一緒に食べるのもおすすめです。

ごはんは、腹持ちが良いと言われ、たんぱく質やビタミンミネラル、食物繊維も含まれています。状況に合わせて使えるよう、無洗米、アルファ化米、パックごはんなど数種類備えておくと安心です。無洗米でない普通のお米も、非常時は洗わずに炊いても大丈夫です。

また、缶入りの甘酒などは、常温保存可能でそのまま飲むことができ、炭水化物源としても重宝します。消化によく、腸内環境も整えてくれるので、備蓄品のひとつとしておすすめです。

【たんぱく質】

たんぱく質は、炭水化物や脂質と違って、体内に蓄えておけない栄養素です。体内で常に合成と分解が行われており、一度に合成できるたんぱく質量にも上限があるため、まとめて摂るのではなく、毎食こまめに摂取する必要があります。
たんぱく質の不足は、筋力低下や疲れやすさ、貧血などにもつながります。
災害時にもできるだけ毎食、たんぱく質源になる食品を組み合わせるよう意識するといいですね。

たんぱく質はアミノ酸が繋がってできたものですが、なかでも「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸は、人間の体内では合成できないため、食事から摂取する必要があります。
また、その9種類の必須アミノ酸のうち、1種類でも欠けてしまうと、十分なたんぱく質を合成することができないという特性があります。
肉類や卵、牛乳などは、単品でも必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。豆類や野菜などは、単独では不足しているアミノ酸もありますが、他の食品と組み合わせて一緒に食べることで、互いのアミノ酸を補い合うことができます。
例えば大豆のアミノ酸は、お米のアミノ酸と補い合う関係にあり、納豆ごはんや、味噌汁とごはんといった組み合わせは理にかなっています。
あまり細かく考える必要はありませんが、同じものばかり食べるより数種類の食品を組み合わせたほうが効率よく栄養素を使うことができることを頭に置いておくと良いですね。

たんぱく源としては、肉や魚の缶詰、真空パックで常温保存可能なサラダチキンや充填豆腐、魚肉ソーセージ、炒り大豆、プロテインバーなどが便利です。

【ビタミン・ミネラル・食物繊維】

災害時には特に不足しやすく、口内炎や便秘などのトラブルの原因になります。

日持ちする野菜や果物(さつまいも、じゃがいも、里芋、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃ、ごぼう、りんご、みかんなど)、乾物(切り干し大根、わかめ、ひじき、豆類など)を普段から多めに買っておき、ローリングストックとして使いまわすといいですね。
野菜や果物の缶詰、野菜ジュースやドライフルーツ、ナッツ、干しいも、甘栗なども良いでしょう。
天然のはちみつの中には、抗菌・抗炎症作用があるものもあり、ビタミンミネラルも含みますので、備蓄品としてもおすすめです。(※はちみつは1歳以下の乳児には絶対に与えないでください)

サプリメント類も、日持ちしてストックしやすく、摂りやすいので、災害時の備えとしてはおすすめです。

冷蔵庫の食品も、停電した場合でも冷凍庫の食品→冷蔵庫の食品の順に食べ進められます。
災害時は水が十分に使えないこともありますが、非加熱の野菜や果物を食べる際は食中毒に注意しましょう。


参考:ビタミン 2011年 85巻8号 p.389-399 災害時におけるビタミン栄養の確保(|緊急特集|災害栄養-ビタミン・ミネラルから食事と健康まで-)https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/85/8/85_KJ00007406414/_pdf/-char/ja

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アルファ化米とは

アルファ化米とは、お米を加熱炊飯後、急速乾燥させて作ったお米のことです。
乾燥させることで、常温で長期保存することができ、お湯や水を注ぐだけで柔らかいごはんの状態にもどるため、災害時の備蓄食品として重宝されています。

アルファ化米のアルファとは、お米のデンプンの状態を表しており、デンプンがα(アルファ)化している状態を指します。
お米のデンプンは、硬くて水に溶けにくいβ(ベータ)―デンプンから、水を加えて加熱炊飯することで糊化し、柔らかく粘り気のあるα―デンプンへ変化します。通常は冷めると再びβ―デンプンへ変化しますが、アルファ化米は炊飯後に急速乾燥させることで、α―デンプンの状態をキープしています。

 
パックごはん

防災備蓄には無洗米やパックごはんもおすすめ

先ほど紹介したアルファ化米など、非常食に特化した食品と合わせて、日常的に使うお米や、サッと使えるパックごはんもストックしておくことをおすすめします。

無洗米は、洗う必要がなく、水を無駄なく使えるので、災害時に役立ちます。普通のお米でも、研いだり洗ったりせず炊くことはできますが、洗わない場合、無洗米のほうがおいしく炊き上がります。
無洗米は酸化しやすい肌ぬかの部分までしっかり取り除いたお米なので、普通の精白米に比べて時間が経っても味が落ちにくく、備蓄米としても向いています。
とはいえ、お米は生鮮食品ですので、長期保存しすぎず、日頃からうまく使いまわすことでおいしさを保てます。
お米(生)の備蓄量は1人当たり2キロを目安に。お米1人1食0.5合(ごはん茶碗1杯分)と考えると、2キロのお米で約27食分取れます。

パックごはんは、常温保存が可能で、レンジが使えなくても湯せんなどで温めれば簡単に食べることができます。他のレトルト食品などと一緒に湯せんすることで、ガスや水の節約になりますし、パックごはんの容器をお皿代わりに使うこともできます。
普段料理をし慣れていない方でも扱いやすいので、多めにストックしておくと安心です。

災害時、温かくておいしい食べ物が食べられることは貴重な安らぎの時間です。お米は昔から日本人の食を支えてきた特別な存在。栄養面だけでなく、心も支えてくれるおいしいお米があれば、心強いですね。

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野沢農産(高橋義三)さんの長野県北信産「橅の水」(特別栽培米・コシヒカリ・無洗米)

野沢農産(高橋義三)さんの長野県北信産
「橅の水」(特別栽培米・コシヒカリ・無洗米)

ダイヤモンド褒章受賞農家さんの逸品を無洗米に致しました。ぷっくりと厚みのある粒感で、噛み心地の良いお米です。甘みは優しくまろやかで、すっきりとした後味です。

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ポリ袋炊飯

災害時に役立つお米の炊き方

災害時は、水道やガスが使えず、普段通りの調理ができないことが予想されます。
そんな時に役立つ、鍋や水を汚さず、食器の洗い物も出ない、ポリ袋を使った炊飯方法をご紹介します。

いざというときに焦らず調理できるよう、試しに炊飯してみて、シミュレーションしておくといいですね!

洗い物を出さないポリ袋炊飯

調理時間:35分(※浸水時間除く)

必要なもの

カセットコンロ
ガスボンベ
鍋、鍋蓋
鍋に入るサイズの耐熱皿
耐熱性のポリ袋(食品対応のもの)

 

材料(1人分)

無洗米(なければ普通の米)
1/2合
水(ミネラルウォーターなどの飲用水)
110~120ml

※計量カップがなければ、コップなどでお米の容積と同量より少し多め(2割増し程度)の水を加えればOKです。

作り方

❶ 耐熱性のポリ袋に米と水を入れ、ねじりながら空気を抜いて上のほうで結ぶ。(加熱すると膨らむため、破れないよう余白を残して結ぶ。)そのまま30分程浸水する。

❷ 鍋底に直接ポリ袋がつかないように耐熱皿をそっと沈める。水を加えて火にかけ、沸騰したら①の米が入った袋を入れ、蓋をして弱火で約20~25分加熱する。

❸ 火を止め、湯に浸けたまま10分蒸らしたら完成。ポリ袋のまま器に乗せ、ごはんをほぐす。ポリ袋のままおにぎりにしても。

ここがポイント!!

直径18cmの鍋で約4人分調理可能です。鍋の大きさにもよりますが、1度にまとめて調理することで、水の量も少なくて済み、ガスも節約できます。
お米だけでなく、おかずも一緒に調理できます。具材や調味料を別のポリ袋に入れ、同じ鍋で加熱します。
時間がない場合は浸水なしでも炊飯可能。その場合は、加熱時間を多少増やすと芯が残りにくいです。

 

おわりに

災害時、まずは命を守ることが最優先ですが、事前にシミュレーションしてできる限り備えておくことで、その後の柔軟な対応にもつながると思います。
自分に合った備蓄は何か考え、例えば普段料理をしない、一人暮らしで外食が多いなど、ライフスタイルによっては、調理の必要のないレトルト食品やインスタント食品を中心に揃えましょう。
いざというときに前を向いて進むためにも、一人一人が自分事として捉え、できることから今すぐ始めてみませんか?

 
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編集者プロフィール

矢田 規子 / 管理栄養士

管理栄養士/フードコーディネーター/フードスタイリスト 大学時代より栄養について学び、管理栄養士国家資格を取得。デパ地下で野菜を中心とした惣菜店を展開する企業を経て、フードコーディネーターのアシスタントを務め、料理撮影やTV・動画のフードコーディネート、料理講師など幅広く経験を積んだ後、独立。 栄養学の知識を活かしたメニュー開発や、料理撮影、スタイリングなどを行う。 二児の母で、離乳食や幼児食の大切さを日々実感中。 食の楽しみを第一に、日々の少しの工夫で健康も目指せることを大切にしている。

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