七夕といえば、年に一度、織姫と彦星が天の川を渡って再会できると言われている、ロマンチックな日。各地で行われる七夕祭りも、夏の風物詩ですね。
今回のテーマは七夕!幻と言われている希少な“七夕コシヒカリ”についてや、七夕イベントを楽しむのにぴったりなお米レシピもご紹介します!
目次
七夕とは
「七夕(たなばた)」は、毎年7月7日に行われる行事です。
七夕の節句は、笹に願い事を書いた短冊を吊るし、願いごとをすることから「笹の節句」とも呼ばれます。
2024年は、7月7日日曜日が七夕です。
旧暦の7月7日は新暦の8月中旬ごろにあたるため、七夕まつりや七夕のイベントが8月に行われる地域もあります。
東北三大祭りのひとつとして知られる「仙台七夕まつり」も8月に行われ、毎年大勢が訪れます。
七夕の由来と七夕伝説。織姫と彦星って?
七夕は、中国から伝わった話と、日本古来の文化が交わり、今のような形になったといわれています。
現在の七夕の由来となったものや歴史を、ご紹介します!
【中国の七夕伝説】
天帝(てんてい)(=天の神様)の娘である織女(しゅくじょ)は、機織りを生業としていました。
織女は、働き者の牛飼いである牽牛(けんぎゅう)と出会い、結婚したのですが、お互いに夢中になり、二人は仕事を怠けるようになってしまいました。
その姿に怒った天帝が、天の川の両岸に二人を引き離してしまいます。しかし悲しみに暮れ、何も手につかない二人に困った天帝は、仕事に励むことを条件に、年に1度、七夕の日にだけ再会することを許可しました。
そうして二人は、年に一度、カササギ(黒と白の、尾の長いカラス科の鳥)の助けを借りて、会うことができるようになったという伝説です。
日本名で、
・織女(しゅくじょ)=織姫(おりひめ)
・牽牛(けんぎゅう)=彦星(ひこぼし)
と呼ばれています。
【棚機つ女(たなばたつめ)】
日本では、機を織る女性のことを「棚機つ女(たなばたつめ)」と呼んでいました。
棚機つ女が、水辺に作った棚の上で神様の神御衣を織って捧げたとされる伝説から、「しちせき」と読んでいた“七夕”を、「たなばた」と読むようになったとか。
【乞巧奠(きこうでん、きっこうでん)】
「巧みなることを乞い、まつる」(※奠とは、神仏に酒食などを供え、まつるという意味)という意味の行事。
乞巧奠(きこうでん、きっこうでん)は、技芸が上達することを願う宮中行事として、中国から日本に伝わりました。
織物を連想する五色の糸をお供えしたり、天の川にも見立てられる箏(こと)や管弦楽器の演奏をして、楽器の上達を願ったりしていたようです。
これらの文化が結びつき、今のような七夕の形になっていったといわれています。
参考文献:三浦康子 「子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ本」 株式会社永岡書店 2014年 p76-79,p137本間美加子「日本の365日を愛おしむー季節を感じる暮らしの暦-」株式会社飛鳥新社 2020年 p220-221,p422
七夕の行事食
七夕の行事食と聞いて浮かぶのは、素麺(そうめん)ではないでしょうか。
織姫が機織りをすることから、糸を連想させる素麺(または冷麦)と関連付けられたともいわれています。
七夕の頃には、天の川に見立てて盛り付けられた素麺もよく見かけますよね。五色の糸を連想させる、5色の素麺なども販売されています。
また、中国のお菓子に「策餅(さくぺい)」というものがあります。小麦粉と米粉を練り混ぜ、縄のように伸ばしたお菓子ですが、これは素麺の原型ともいわれています。
中国では、昔、皇帝の子が7月7日に水死し、その魂が疫病を流行させたと考えられ、その子の好物であった策餅をお供えすることで、疫病を鎮めたそうです。
その話が日本に伝わり、策餅からやがて素麺が七夕の行事食の定番になっていきました。
現在では、素麺だけでなく、七夕を連想する天の川や星などをあしらった、ちらし寿司などのごはんメニューも、七夕の行事食として取り入れられています。
参考文献:高橋司「親子で楽しむものしりBOOK 食で知ろう 季節の行事」長崎出版株式会社 2008年 p52-53
七夕とお米。年に一度の幻のお米、“七夕コシヒカリ”とは?
七夕の名がついた、幻のお米があるのをご存知でしょうか。
“七夕コシヒカリ”という銘柄で、佐賀県を中心に作られています。
ごく僅かな生産量ゆえ、なかなか市場に出回らず、地元の人でも手に入れるのが難しいとされている、希少なお米です。
実際に目にされたことのある方は少ないのではないでしょうか。
七夕コシヒカリは、旧暦の七夕である8月7日ごろから出荷されるため、その名がつけられました。
一般的に、お米の収穫時期は秋(9月下旬~10月ごろ)が最盛期です。
しかし、中にはまだ暑さの残る8月~9月初旬に収穫される極早期栽培のお米(早場米とも呼ばれます)があります。
いち早くみずみずしい新米を味わえることから、お米好きの方々からとても人気があります。
七夕コシヒカリは、粘りがあり、つやつやピカピカと輝く粒で、早場米の中でも香りと味が抜群に良いといわれており、食通の方を唸らせる魅力たっぷりのお米です。
なかなか手に入らない幻の新米、「七夕コシヒカリ」。手に入れるチャンスは一年で一度…という、七夕伝説にも通じるロマンを感じるお米です。
運よく巡り逢えた方は、ぜひ!味わってみてくださいね。
七夕飾りはなぜ笹に飾る?七夕飾りの種類と意味
笹竹には、神の力が宿るとされ、邪気払いにも用いられてきました。
七夕に笹竹を飾るのには、邪気払いや禊をして身を清め、秋の収穫時期を控えて豊作を願ったり、健康や技芸の向上などの願いごとをする意味合いが込められているようです。
【七夕飾りの種類と意味】
・五色の短冊…青(緑)、赤、黄、白、黒(紫)の5色の短冊。中国の陰陽五行説と関連し、それぞれの色に意味がある。お願い事を書いたり、「天の川」「織姫」「彦星」など、七夕に関係する言葉や絵などを書いたりする。
・網飾り…豊作や大漁、豊漁を願う。幸せをたくさんすくいあげる、といった意味も。
・吹き流し(吹流し)…五色のテープで作られ、魔除けの意味もある。織姫の織り糸もイメージさせる飾り。
・くずかご…ものを粗末にせず、大切にする意味。七夕飾りの紙屑などを入れる。
・千羽鶴…長寿の願いのシンボル。
・巾着…金運アップの願いを込める。折り紙などで作ったり、本物の財布を飾る場合も。
・紙衣(かみこ)…棚機つ女(たなばたつめ)が織る「神御衣(かみこ)」とかけて、手芸や裁縫の上達や、着るものに困らないようにという願いを込める。
これら7種類を、七夕の「七つ飾り」と呼ぶこともあります。子どもと一緒に手作りしてみるのも楽しいですね。
また、梶の葉を七夕に飾ることもあります。
昔、七夕の願い事を書くのに使われていたのは梶の葉っぱでした。乞巧奠(きこうでん)の儀式に使われていた歴史もあり、今でも梶の葉を飾ったりします。
参考文献:三浦康子「子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ本」株式会社永岡書店 2014年 p78-79,p140
天の川って何?七夕と夏の大三角
七夕の日に、夜空を見上げて天の川を眺めてみましょう。
天の川とは、沢山の星が集まった銀河系が、雲のような光の帯として見えているものです。
地球を含む太陽系も、天の川銀河に含まれています。太陽系は銀河系の端のほうに位置していて、季節によって見え方が異なります。
七夕の季節以外でも見ることができる天の川ですが、夏が一番きれいに見える時期です。
七夕の日に天の川が見られなくても、旧暦の七夕は8月頃だったため、その頃のほうが雨の心配も少なく、綺麗に見られるかもしれません。
夏の空にひときわ輝く3つの1等星は、“夏の大三角”と呼ばれます。
・ベガ(こと座)=織姫星
・アルタイル(わし座)=彦星
・デネブ(はくちょう座)=織姫と彦星が会うのを助けるカササギという説も。
織姫のベガと、彦星のアルタイルの間に、天の川が流れています。七夕伝説は星空と関係していたのですね。
七夕にぴったり!7種の具材で、七色手まり寿司レシピ
七夕の食卓を彩る、華やかな手まり寿司のレシピをご紹介します。
七夕飾りの五色の短冊にも表現されている5色を、具材にも取り入れています♪
・青(緑)→きゅうり
・赤→まぐろ
・黄→たまご
・白→お米(ごはん)、ラディッシュ
・黒(紫)→なす
意外と簡単に作れるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
七色手まり寿司
調理時間:約60分(※炊飯時間を除く)
材料(2人分)
- ごはん
- 1合分(いつもの水加減より少な目に炊く)
- すし酢
- 大さじ2
【具材】
- 塩
- 適量
- きゅうり
- 適量
- いくら
- 少々
- まぐろ(刺身用)
- 2枚
- お好みのスプラウト(芽ネギ、かいわれ大根など)
- 少々
- 卵
- 1個
- オクラ
- 1本
- ラディッシュ
- 2個
- なすの漬物
- 2枚
- おろし生姜
- 少々
- ゆで海老
- 2枚
- 黄パプリカ
- 1切れ
- サーモン(刺身用・スモークサーモンでも)
- 2枚
- レモン
- 2切れ
- しょう油、わさび
- 適量
作り方
❶ 温かいごはんに、すし酢を回し入れ、しゃもじで切るように混ぜる。ラップなどに約20gずつに分け、合計14個、丸く握る。
❷〈きゅうり〉
きゅうりをピーラーで薄く切り、塩少々をまぶす。しんなりとしたら水気を拭き、酢飯に巻き付ける。いくらを乗せる。
〈まぐろ〉
ラップにまぐろをのせ、上に酢飯を置いて包み、形を整える。お好みのスプラウトを乗せる。
〈たまご〉
ボウルに卵を溶きほぐし、塩ひとつまみを加えて混ぜ、油少々(分量外)をひいたフライパンで薄焼き卵を作る。粗熱が取れたら適度な大きさに切り、ラップに置く。酢飯をのせて包み、サッと塩ゆでしたオクラを乗せる。
〈ラディッシュ〉
ラディッシュを薄切りにし、塩少々をまぶす。しんなりとしたら水気を拭き、ラップの上に重ねながらお花のように置き、酢飯をのせて形を整える。
〈なす〉
ラップになすの漬物をのせ、上に酢飯を置いて包み、形を整える。おろし生姜を乗せる。
〈海老〉
ラップにゆで海老のせ、上に酢飯を置いて包み、形を整える。星型に抜いたパプリカを乗せる。
〈サーモン〉
ラップにサーモンのせ、上に酢飯を置いて包み、形を整える。レモンを乗せる。
❸ 器に盛り、しょう油とわさびをつけていただく。
ここがポイント!!
具材は、お好みの素材でアレンジできます。
ラップで包む際は、お米をつぶさない程度に少しきつめに絞るようにして包むと、きれいに形が整います。
酢飯におすすめのお米
ライスサービスたかはしさんの
宮城県栗原市産ササニシキ(特別栽培米)
お寿司には粘りの少ないササニシキがおすすめです。大粒でインパクトがあり、粘りの少ない、すっきりとした上品な味わいで、具材の旨味を引き立たせます。
主穂営農(奥村知己)さんの
岐阜県岐阜市柳津町産ハツシモ
大粒で見た目にもインパクトのあるお米です。シャッキリと炊き上がり、食べ応えのある粒感を楽しむことができます。甘さは上品で、すっきりとしているためお寿司にもぴったりのお米です。