北風がぴゅ~っと吹き始めると、冷えた身体を芯からじんわり温めてくれる、お鍋の季節です。
みなさんは、どんなお鍋が好きですか?
日本では各地に、その土地に伝わる鍋料理があります。
雪深い北国、秋田の郷土料理といえば、「きりたんぽ鍋」。
「鍋の〆」にごはんを使う雑炊は、多くの家庭で定番だと思いますが、
「鍋具材の主要メンバー」としてごはんを味わえるきりたんぽ鍋は、この冬ぜひ作ってほしい逸品。
この鍋の醍醐味はやっぱり、おだしがじゅわっと染みたきりたんぽです。
きりたんぽは市販品もありますが、お米と塩さえあれば、簡単に楽しく手作りできます。
きりたんぽの「たんぽ」は、串に刺して焼いた姿が“がまの穂”に似ていることから、短い穂、「短穂(たんぽ)」が語源だといわれています。
細長い「たんぽ」を、鍋に入りやすいよう切ったものが、「切りたんぽ(きりたんぽ)」です。
材料のシンプルさゆえ、こだわりたいのはやっぱりお米。
今回使用したのは、きりたんぽの故郷、秋田県から、渡部浩見さんの特別栽培米「あきたこまち」。
渡部さんのお米の特徴は、“漢方農法”を活用されていること。
漢方農法は、その名の通り、漢方農材を使用したものです。農薬を最小限にしながら、病気に強く味わい深いお米を作るため、漢方の力を活用されています。
漢方農材に素材として使われている漢方生薬は、人が漢方薬として飲むものと同等のグレードだそう。
渡部さんは、我が子を育てるように、毎日田んぼへ出かけ、葉の色や張りなどの細かい様子を見極める細やかな稲作に力を注いでおられます。
量より質にこだわった愚直な米作りが実を結び、米・食味分析鑑定コンクール国際大会でも、何度も金賞を受賞されています。
なかでも秋田県といえばの「あきたこまち」は、旨味、香り、粘りや歯ごたえなどのバランスがとてもよく、もっちりとした粘りがあるため、きりたんぽにもピッタリのお米です。
おすすめのお米
渡部浩見さんの秋田県湯沢市産
こだわり米5種食べ比べセット(300g×6)
漢方で育てた我が家自慢のお米5品種。真空パックにしておりますので、長期保存できます。食べたい時に、食べたいお米を、食べたい分だけ。日替わりで楽しめます。ご贈答にも喜ばれる一品です。
渡部浩見さんの秋田県湯沢市産あきたこまち
(特別栽培米 化学肥料不使用・農薬9割減)
粒が大きく、ねばり、甘味、うま味のあるお米です。さめてもおいしいので、おにぎりやお弁当にも最適です。あきたこまち特長でもあるねばりで、もちもちとした歯ごたえ。かめばかむほど出る甘みを味わってください。
農作業は手間暇のかかる大変な仕事ですが、多忙のなか毎年のように子どもたちを田んぼに招き、食育活動もされています。
百聞は一見に如かず。
未来を担う子どもたちは、渡部さんの田んぼで手を動かしながら、日本の文化に根付いた稲作や豊かな自然を、五感をめいっぱい使って感じてくれていることでしょう。
「この人から買いたい」と思ってしまう、渡部さんのその優しいお人柄は、朗らかなお顔と表情を見れば誰もが想像がつくのではないでしょうか。
手作りきりたんぽで作る、秋田の郷土料理きりたんぽ鍋
作り方
調理時間:約40分(炊飯時間、昆布を水に浸ける時間を除く)
材料(4人分)
【きりたんぽ】
- 温かいごはん
- 2合分(約650g)
- 塩
- 小さじ1
- 水
- 50ml
※割り箸を6本用意しておく
【だし汁】
- 昆布(分量の水に30分程浸けておく)
- 5×10cm程度
- 水
- 6カップ(1200ml)
- 鶏手羽先(手羽中、手羽元でも)
- 8本(約500g)
- 酒
- 大さじ3
- 白ネギの青い部分
- あれば
- しょう油
- 大さじ3
- みりん
- 大さじ2
- 塩
- 適量
【その他具材】
- 鶏もも肉(一口大に切る)
- 1枚
- ごぼう(ささがきにし、水にさらす)
- 1~2本
- まいたけ(食べやすく割く)
- 1パック
- 白ネギ(斜め切り)
- 1~2本
- しらたき(水洗いする)
- 約200g
- せり(根もよく洗い、ザク切り)
- 1束
作り方【きりたんぽ】
❶ 塩と水を混ぜ合わせ、塩水を作る。
❷ 温かいごはんを、すりこぎやめん棒、マッシャーなどで、粒が残る程度につぶして6等分しておく。
❸ 塩水を手につけながら、ごはんを細長く握る。割り箸をさして形を整える。塩水をつけてまな板の上で転がすと、表面がきれいに整い、焼き目が均等に付きやすくなる。
❹ フライパンで、転がしながらこんがりと焼く。グリルやオーブントースターで焼く場合は、割りばしが焦げないようアルミホイルを巻いてから焼く。
❺ 温かいうちに割り箸を回しながら外し、冷ましておく。
❻ 斜め半分に切る。
作り方【だし汁】
❶ 鶏手羽先は骨に沿って切れ込みを入れる。
❷ 分量の水と浸しておいた昆布が入った鍋に、手羽先、酒、白ネギの青い部分を加えて火にかける。沸騰したらアクを取り、15分程煮る。
❸ 白ネギと昆布を取り出し、醤油、みりん、塩で味を調える。鶏手羽はそのまま具材としていただける。
作り方【仕上げ】
❶ だし汁に、鶏もも肉、ごぼう、まいたけ、白ネギ、しらたきを加えて煮る。
❷ きりたんぽを加えてひと煮立ちしたら、せりを加えてサッと煮、取り分けていただく。
ここがポイント!!
鍋具材である鶏肉、ごぼう、まいたけ、白ネギそれぞれの旨味や風味が重なって、おいしいお出汁が完成します。この具材はマストで入れてみてくださいね!
本場秋田では、比内地鶏などの鶏ガラだしを使いますが、手軽に手に入る骨付きの鶏手羽を使用することで、市販の鶏ガラスープの素などを使わなくても、おいしいお出汁が作れます。
せりが手に入らなければ、三つ葉や水菜、豆苗、クレソンなどでも代用できますよ。せりは、根が特に香りが強いとされ、きりたんぽ鍋ではせりの根っこもよく洗って使用します。
きりたんぽに割り箸を刺す際は、太いほうを刺すと安定しやすいです。割らずに二本繋がった状態で刺してもOK。本来は炭火で焼くため、棒に刺して焼きやすくしますが、ご家庭で作る場合は棒に刺さなくても作ることができます。
きりたんぽに使用するごはんは、粒が残る程度に半分程度潰しますが、これを、「はんごろし」にする、というそうです。また、全部潰す場合は「みなごろし」というそうですよ。
手作りする場合は、お好みの潰し加減にできますが、5~7割程度潰すのがおすすめです。
きりたんぽは煮崩れやすいので、サッと煮ていただきましょう。