下村ファーム
下村ファーム佐賀県佐賀市
地元のお米をさらに美味しく。奮闘する若手農家。
佐賀県佐賀市久保泉町。佐賀平野の屋根と云われる脊振山系の清らかな水と、肥沃な土壌に恵まれたこの土地で栽培されている、希少品種「夢しずく」。キヌヒカリとひとめぼれの交配によって生まれた品種で、強い粘りと優れた甘みの味わいがあり、食欲をそそるふっくらでつややかな容姿が自慢だ。
この「夢しずく」を大事に育てる作り手が、下村ファームの下村幸蔵さん。試行錯誤しながらも、付加価値の高い農業を実践する50代の若手農家だ。一度は就職し全国を転々とした後、佐賀に戻ってUターン就農。アメリカで農業を学び、長野県で有機栽培の修行を経て、自分の米づくりをスタートさせた。アメリカの大規模農家で「売れない物は作らない」という販売農家としての意識の高さに影響を受け、商品力の向上に力を注いでいる。「夢しずく」に賭ける想いは熱い。
「すごくいいものを作りたい」稲一本一本に賭ける想い
「安全ですごくいい米を作っていきたい」と信念を語る下村さん。下村ファームで作られている「夢しずく」は、化学肥料は一切使わず、夏場の防除回数を0にし、有機肥料のみで生産している。
また、稲一本一本に充分な場所を与えることで、たっぷりの栄養、水分、陽射しをいきわたらせている。「刈入れの状態でも列と列の間の土が見えるくらいの稲姿だと、おいしい米になる」と下村さん。そのため、通常10反(約991.74㎡)の田んぼで5トンのお米が収穫されるが、下村ファームの田んぼの収穫量は2割減の4トンほどしかない。「取れ高は少なくとも、たくさん作ればいい訳ではない。すごくいいものを作る」。下村さんのこだわりだ。
下村ファームのお米は佐賀県でも有数の良い数値を出しており、高い評価得ている。
環境保全や農業体験を通して、理想の農業を追求する
平成24年9月、下村さんは米穀でJGAPの認証を佐賀県第一号で取得した(「Japan Good Agricultural Practice」の略で、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証)。整理整頓・水質調査・土壌診断などについて継続して記録を蓄積し、把握する。この取り組みにより、農作業のレベルや効率をさらに向上させた。
下村ファームは、土に触りふれあいながら農作業体験できる農業体験(グリーンツーリズム)に地元の若手農業者と一緒に参加・運営している。「土を見る、土に触る、土を握ってみる」と、土に逆らわず自然に正直に農作物を育てることの大切さと面白さを、一緒に汗をかきながら伝えていく。
「安全ですごくいい米を作っていきたい」。地域の農業環境をも一緒に巻き込み、理想の農業を追求し挑戦し続ける。下村さんの情熱をたっぷりの栄養として「夢しずく」はのびのびと元気に育っている。