上和田有機米生産組合
上和田有機米生産組合山形県高畠町
有機栽培米発祥の地
1986年頃に大型ヘリでの農薬の空中散布が始まり、それが子供の通学や健康に影響があったり、地域環境汚染が強くなる懸念があった。当時は多収穫の時代で化学肥料や農薬を用いて単位面積あたりの収量拡大を目指していたが、農業から派生する農薬散布等による公害問題が指摘され始めていた。
そういった事を阻止しようと思い、農薬を使用しない有機栽培でのお米作りを日本で最初に取り組みを始めたのがこの高畠町。その意思を引き継ぎ発足したのが、上和田有機米生産組合。有機JAS取得も全国でもいち早く取り組みを実施。
当組合では有機栽培米だけでなく、環境を守るため農薬の使用を極力避け、化学肥料は育苗のみに使用する等の拘りの特別栽培米も作っている。
安心・安全ばかりでなく食味にも拘る
安心、安全を徹底するだけでなく、食味にもこだわるのがこの生産組合の特徴。特に有機肥料への拘りも強く、原料指定による上質のオリジナル有機質肥料と天然鉱石を原料としたミネラル補給肥料を土壌分析結果によって適正量施すことを栽培の基本としている。また、収量の観点でも10a(=1反)で通常10俵程度収穫できるところを食味低下を考慮して、あえて7俵しか収穫しない等徹底している。そういった努力の結果として平成14年から参加した全国最大のお米コンクールである「米・食味分析鑑定コンクール」では2002年~2006年まで総合部門で金賞を受賞。組合内で食味が上位に入らないとそもそも出場できないなど組合内での競争は厳しい。
環境としても奥羽の美しい山並みに囲まれており、置賜盆地には肥沃な耕土が拓け、四季折々の多彩な風景が展開される豊かな自然環境を有している。盆地であるため昼夜の寒暖の差が大きいのが特徴。水については奥羽山系から流れてくる良質な水を利用している。一帯には洞窟や古墳群が点在し、縄文創期(約1万年前)から人々が住み、地域の恵まれた条件を生かした生産と生活のかたちを築いてきたエリア。そのため、古事記や万葉集に出てくる「周囲を山々で囲まれた、実り豊かな土地で美しく住みよいところ」という意味の「まほろば」という言葉で形容され、「まほろばの里」とも言われている。
将来に向けて
後継者難に悩む農家が多い中、当組合では昨年青年部(7名)を新たに発足させ将来に向けての準備を始めている。米・食味分析鑑定コンクールで5回連続受賞(内、金賞3回)のダイヤモンド褒賞受賞者の遠藤五一氏も所属しており技術の伝承にも余念がない。
子供や若者への就農体験支援も継続しており、地元の小、中、高校生の体験農業受け入れを続けている。また立教大学については10年以上受け入れ行っており、第1回立教学院賞を受賞している。また、2010年には農林水産省主催の「全国環境保全型農業推進コンクール」で大賞である農林水産大臣賞を受賞している。
当組合は今後も安全・安心を保ちながら食味の良いお米を生産し、農家の自立と持続可能な循環型社会を築くことに挑戦し続ける。