浪江農園
浪江農園埼玉県さいたま市
歴史ある米どころ馬宮地区
浪江農園の田んぼがあるのは埼玉県さいたま市。
住宅街から離れ、あたり一面の田園風景が広がっています。この辺りは馬宮地区と呼ばれ、早場米を中心に昔から味の良いお米が取れると言われてきた地域です。昔は近くを流れる荒川がよく氾濫していた地域で、土質もよく肥えていると言います。
浪江さんは12年前に父親の後を継ぎ、9haほどの圃場であきたこまちやコシヒカリなどを栽培。その大半が農薬や化学肥料を減らした特別栽培であり、時間と手間をかけ丁寧な米作りを続けてきました。
れんげ草が育む豊かな土壌
浪江農園の最大の特徴は「れんげ農法」。
稲刈りが終わるとトラクターで土壌を耕し、れんげ草の種を播きます。れんげ草は冬を越し、花が咲くまでの間に窒素成分を根に溜め込む性質があり、それを田んぼにすきこむことで自然な肥料となります。
化学肥料とは全く違うため、稲への吸収は穏やかでゆっくり。種を蒔く量や中干しのタイミング、期間をしっかりと見極めることが大切だと言います。
また、浪江さんは苗づくりにも強いこだわりを持っており、細かく温度管理をすることで根張りの良い「ずんぐりむっくり」した強い苗を作ることを心がけていると話してくれました。
旨味が詰まったれんげ米
長年農家をしてきた浪江さんでも、米作りは毎年が1年生だと言います。気候、土壌状態、苗の顔、どれをとっても同じ年はなく、毎年が勉強で、だからこそ面白いと。
この辺りのお米は少し小粒傾向ではありますが、れんげ草が繋いでくれた栄養をもとに旨味がぎゅっと詰まった味わい深いお米に仕上がっています。
浪江さんは父親が生涯かけて追求したれんげ農法を継承しながら、良食味のお米づくりに心血を注ぎ、埼玉でも美味しいお米が取れるんだということを多くの人に知ってもらい、この農地を残していける仕組みを作っていきたいと話してくれました。