高千穂ムラたび農園(佐伯勝彦)
高千穂ムラたび農園(佐伯勝彦)宮崎県西臼杵郡高千穂町
高千穂峡のさらに山奥にある秘境の棚田
高千穂ムラたびさんの田んぼは、宮崎県西臼杵郡高千穂町にあります。有名な高千穂峡からさらに奥へと進み、村最後の民家を通り過ぎたさらに奥に高千穂ムラたびさんの棚田が広がっています。標高600mに位置し、諸塚山からの豊富な湧水や深呼吸したくなるような澄んだ空気、朝晩の激しい寒暖差など自然の恩恵により、のびのびと稲が育つ素晴らしい環境が整っています。高千穂という名前は、ニニギノミコトという神様がこの地に降り立った時、稲穂を蒔いて世界を明るくしたという神話に由来すると言われており、高千穂とお米は切っても切れない深い関係があります。
聞こえるのは動物の声と流れる水の音だけ
標高600mの斜面を切り開いて作られた棚田での米作りは、大型の機械が入れないこともあり効率の点においては非常に不利と言えます。しかし、高千穂ムラたびさんは、極力農薬の使用を抑え、昔ながらの機械や手作業で米作りを続けており、全国にお米を待つファンがいると言います。夜には動物の声と川の水が流れる音しか聞こえないという特異な地域で作られるお米は、少し小粒ではありますが、寒暖差が大きいためしっかりとふっくらとした食感で甘みがあり、味わい深いお米だと話してくれました。
未来の村づくりを目指して
見渡す限りの美しい自然は、他の産地とは一線を画す壮大さ。最寄りのコンビニは往復で1時間かかるこの村は、まさしく秘境であり、非効率で手間のかかる地域ではありますが、待っているお客様のために米作りを続けています。お話を伺った佐伯さんは、限界集落とも言えるこの地域で、仕事を生み出し「未来の村づくり」をしていきたいと言います。お米だけでなく、「どぶろく」や「甘酒」などの加工にも力を入れており、高齢化で消えゆく村を生まれ変わらせ、進化させていく方法を模索しています。