齋田農園(齋田善郎)
齋田農園(齋田善郎)宮城県遠田郡
居久根が育む自然と共生した米作り
齋田農園さんの田んぼがあるのは、宮城県遠田郡美里町。宮城県でも有数の平野が広がり、風がよく抜ける清々しい地域です。田んぼと田んぼの間には強い北西の風から家や田畑を守るために居久根(屋敷林)が植えられており、冬には田んぼの生き物が居久根に避難し、春にはまた田んぼに戻るという自然の循環が古くから育まれています。また、昔は洪水が多い地域であり、当時の藩主であった伊達家が整備した排水路など水害対策が評価され世界農業遺産にも選ばれている地域です。代表の齋田さんは現在で7代目。20haほどの圃場でササニシキやひとめぼれ、だて正夢などさまざまな品種を栽培しています。
牡蠣の殻を活用した豊かな土づくり
齋田農園んでは、漁師の娘である奥様の実家からもらった牡蠣の殻や海藻を田んぼに入れ、自然のもので土づくりをしています。水は成瀬川から流れる船形山の雪解け水を使用し、強くしっかりとした苗を作り、農薬を使わない田んぼでは除草機を使って手間暇かけて管理をしています。乾燥は昔ながらの穂仁王式天日干しでゆっくりと乾燥させ、味わい深いお米になるよう試行錯誤を繰り返していると話してくれました。齋田さんは、地域全体の将来を見据え、廃棄される海産資材を活用した肥料を作り、地域全体で循環型の農業を目指していきたいと話してくれました。
天日干しにかける想い
齋田農園さんのところでは、たくさんの品種を作付けし、面積も広大であるため水管理など、管理作業には苦労すると話します。お客様にいろいろなお米の味を楽しんでいただきたいとの思いもありますが、何より自分が楽しいと話す齋田さん。食に興味がない子供が増えていることに危機感を持ち、体験を通して農業の楽しさ、郷土への想いを伝えていきたいと話してくれました。夢は全ての田んぼを天日干しで仕上げること。初めは嫌だったこともお客様から嬉しい言葉をいただくと、活力になるといいます。いつでも見られた昔の光景を復活させ、天日干しならではのあったかい味わいを多くの方に届けたいと話してくれました。