くさおか農園(田中 真由美)
くさおか農園(田中 真由美)滋賀県長浜市
おじいちゃんに憧れて始めた米作り
くさおか農園さんの田んぼがあるのは、滋賀県長浜市余呉町。琵琶湖の北側に位置し、地域の9割程度が山林で、平地はわずか1割ほど。市内でも標高が高く、山に囲まれた地域で、田んぼに使う水は地下水を利用しているため水温も低く、混じりっけのない美しい水が流れています。気候は隣接する北陸に近く、雪もしっかりと積もる四季のはっきりとした地域です。代表の田中さんは、22歳から農業を始め、取材当時28歳という若さ。きっかけは、農業をするおじいちゃんの姿に強い憧れがあったからだといいます。
身をもって体感した「食」の重要性
元々、重いアトピーの症状に悩まされていた田中さんは治療のために食事療法を実践したところ、症状がみるみる改善されていくのを体感し、身をもって「食」の重要性に気がついたといいます。その経験から農薬や化学肥料を極力使わない米作りを実践し、人にも自然にも優しい農業を目指しています。菜種の油かすや魚粉などなるべく自然のもので丁寧に土を作り、稲が本来もっている強さを引き出し、味わい深い米作りをしています。田中さんは、米作りを起点に人に喜ばれることがしたいといいます。お客様を含め、身近な人を大事にしていきたい。その想いが原動力だと話してくれました。
特別ではなく、身近で心温まるお米が作りたい
田中さんは、3haほどの圃場でコシヒカリや滋賀旭などのお米を栽培しながら米粉などの加工品の販売にも取り組んでいます。物理的な重労働は、苦労する時もあるといいますが、毎年毎年が勉強で、少しずつ理解できる範囲が広がると自分の見える景色が変わり、世界の幅が更新される感覚は、農業だからこそだと話す田中さん。1年に1回しか作れないお米は、毎年が一年生であり、チャレンジしたいことが毎年増えているといいます。買う人にとって身近な存在になってくれる、特別ではなく、普段の生活に溶け込み、おいしいって思ってもらえるお米を目指していると話してくれました。